グループホームの歴史

グループホームは近年いろいろな種類のものが作られています。

ただ、こういった施設は急にできたわけではなく、歴史あるものなのです。

そこでここではグループホームができた経緯やその変遷など、グループホームの歴史について紹介していきたいと思います。

1.グループホームはヨーロッパで始まった

現在の日本のグループホームの形式に近いものが始まったのは、1980年代に北欧スウェーデンで認知症緩和ケアとして認知症の高齢者と共同生活を始めたことが日本にも導入されたことが関係しているとされています。

ただ、その起源とされているのは18世紀イギリスの精神病患者向けの小規模なものとされており、最初は小規模な寮のようなもの、小さい病院、グループホームなどで始まっており、その形態もまちまちで統一されたものではありませんでした。

そのバラバラだった形式は少しずつ精神障がい者、知的障がい者、高齢者、介護が必要な人向けのものへと広がっていき、現在のグループホームの形態に近づいていくこととなります。

まず日本の認知症高齢者グループホームは、1997年に当時の厚生省、現在の厚生労働省によって「痴呆対応型老人共同生活援助事業」として制度化され、2000年4月から施行された介護保険制度において、在宅サービスの1つとなって展開されていきました。

一方で、障がい者向けグループホームは1989年知的障がい者を対象としたグループホームが初めとされています。

ここで制度化されるまでは「共同ホーム」としてあったのですが、まず1989年に制度化され、のちに1992年には精神障がい者向けグループホームが制度化され、2006年には障害者自立支援法が制定されたことで身体障がい者も制度化されていきました。

2.日本でのグループホームの広がりとは

最初に日本で制度化されたばかりのころはその設備や施設の数も少なく、設置目標も設定されていませんでしたが、2000年に厚生省が策定した「ゴールドプラン21」では2004年までに認知症高齢者グループホームを3200ヶ所設置するという目標が定められています。

2000年度に制定された介護保険制度によって介護サービス給付が利用できるようになったため、認知症高齢者グループホームは急激に増加することとなったのです。

そのため介護保険制度でのグループホームというと認知症高齢者グループホームを指すことが多いのですが、それ以降は少しずつ知的障がい者向けのグループホーム条例を制定する自治体も増えてきています。

その後、障害者自立支援法は2012年に「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(通称:障害者総合支援法)となりました。

この法律によって障がい福祉サービスの支援などが総合的に行われるようになっただけでなく、それまでの障害者自立支援法で対象となっていた身体障害者、知的障害者、精神障害者(発達障害者を含む)に加えて「一定の難病の患者」も対象となりました。

ここでの一定の難病とは、

・「難治性疾患克服研究事業」の対象である130疾患

・関節リウマチ

といったものを指しています。

3.厚生労働省の取り組みによって障がい者向けグループホームは増加する

2015年に厚生労働省は新しいコンセプトである「認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指す」という目標を掲げ、それまでの「認知症施策推進5ヶ年計画(オレンジプラン)」を発展させた「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」を公表しています。

このプランの中では、認知症高齢者グループホームについては、地域の認知症ケアの拠点として期待されており、ここからさらに共用型認知症対応型介護や認知症カフェなどの事業が展開されていくことが望まれています。

さらに障がい者向けグループホームについては、2013年まであった「グループホーム(介護サービスが不要)」と「ケアホーム(介護サービスが必要)」とに分かれていたものを同時に展開できる必要性が出てきました。

そこで、介護サービスが不要な人と介護サービスが必要な人の両方を受け入れることができる場所として2014年にはグループホームとケアホームを一元化し、どちらでも介護サービスを提供できるように改正されています。

そしてグループホームの新たな支援の形態として外部サービスを利用することができる「外部サービス利用型」が設定されました。

利用対象の拡大としては、

・重度訪問介護

重度肢体不自由者のみの対象が、重度の知的障害者及び精神障害者も利用可能に

・地域移行支援

施設に入所している障害者及び精神科病院に入院している精神障害者のみの対象が、「地域における生活に移行するために重点的な支援を必要とする者」も対象に

とそれぞれ対象の拡大が行われています。

また、全国どこでも適用されるものや自治体独自なものとして公的な補助金、融資ができる制度も確立されてきていますので、新たに開設する場合などに利用しやすいものとなっています。

そして近年では従来の「戸建て型」だけでなく「アパート型」「サテライト型」など色々な形態で展開されてきています。

まとめ

グループホームは日本で広がりを見せているのはここ数十年のもので、長い歴史があるものではありませんが、次々と法改正が行われて制度化が進んでおり、支援体制が強化されていることがわかります。