障がい者向けグループホームのデザインとは?

ますます増加傾向にある障がい者向けグループホームですが、最近ではその大きさや機能だけでなく、デザインも注目を集めています。

その優れたデザインは住んでいる人の気持ちを満足させるだけでなく、近隣の住民にとっても親しみやすいものとなっています。

そこでここでは障がい者向けグループホームの中で特に優れたデザインとして評価されている場所を紹介していきたいと思います。

1. 障害者のためのグループホーム [ことのは]

受賞内容:2013年度グッドデザイン賞受賞

事業主体名:社会福祉法人ゆうのゆう

分類:住宅・住宅設備

受賞企業:ar-co. (大阪府)

設置場所:大阪府大阪市大正区

建物の概要

こちらは周囲を3階建ての住宅に囲まれた敷地に建っているグループホームです。

1階部分には高窓のある共用空間を設けており、その両側の障がい者用個室とともに自然通風と採光が確保されています。

そのため、風通しや日当たりが良い建物となっています。

2階にはケアスタッフや障がい者の家族が生活できる個室を設けており、障がい者が安心して暮らせる環境を作りだしています。

エントランスアプローチに設けられた庭には四季を通じて花や実がなる植物で覆われたパーゴラやベンチが設けられていて、ここで暮らす障がい者が近隣住民と積極的に交流できるような場所として設計されており、それを契機として弱くなりつつある地域のコミュニティーが活性化することを目指して作成されています。

受賞デザインの概要

こちらの建物は単純に障がい者向けグループホームとしてだけではなく、入居者が安心して生活をすることができるように、そこで働くスタッフやその家族も共に生活をすることができる施設としてデザインされています。

また、そのエントランス部分の庭は地域に対して開放されており、近隣に住む人たちのコミュニティの場としても活用されています。

近年都市部においては地域コミュニティが弱くなっているとされているが、こうした地域に開放された場所を持つグループホームがあることで、近隣の住民などとも新しいコミュニティを作ることが期待できるものとなっています。

これから日本では高齢化が進んだり、空き家が増えていくと予想されていますが、住宅地にこうした施設があることで地域コミュニティの弱体化を防ぐことができるとも考えられています。

2. 知的障がい者グループホーム [角地の小さなグループホーム]

受賞内容:2020年度グッドデザイン賞受賞

事業主体名:NPO法人はな

分類:共同住宅

受賞企業:NPO法人はな (東京都)、SOGO建築設計 (東京都)、

オンスタジオ構造設計事務所 (東京都)

設置場所:東京都八王子市

建物の概要

こちらは住宅街の一角に建つ、知的障がい者向けグループホームです。

南東の角地にあり、日当たりが良いのが特徴となっており、女性4人の入居者がいます。

大規模な土地を取得して大型の建物を建てるのではなく、空き家が増えつつある住宅街に小さい建物を点在させて建てて、それらを連携させて運営するという方針で行われています。

この敷地から徒歩30秒の場所にはキッチンやダイニングスペースがある建物があり、そこで一緒に食事をとることができるようになっています。

また、この建物には大きなリビングが設置されており、そこで入居者がゆっくりしたり、家族との面談を行うようにされています。

この2つの建物を行き来することで、積極的に地域に溶け込んでいこうという意図が見えます。

受賞デザインの概要

小さい施設を分散させて建てていくことで障がい者と街との接点を増やしていることが評価されています。

また、この建物は角地であることを活かして、すべての部屋に2つ以上の窓が作られています。

建物自体は周囲に溶け込むようにそれほど高さがあるわけではありませんが、どの部屋もうまく採光できるようになっており、日当たりが良くなっています。

日当たりの良い共用スペースに設置された傾斜屋根は重力換気が行われるようになっており、風の通りを維持したまま心地よい日陰ができるようになっています。

全面の路地に面して作られた大きな窓は地域に対して開かれた場所であるという運営者の想いがデザインとなっています。

実際には知的障がい者の施設は近隣住民に受け入れられないこともあるのですが、こちらでは積極的に地域社会に溶け込んでいこうという姿勢がデザインにも表れています。

こうした地域との親和性を意識したデザインはこれから作られていくグループホームなどの施設の手本となるものとして評価されています。

まとめ

障がい者向けグループホームは次々と増えてきていますが、充実した機能はもちろん、その地域との関係性までを意識したデザインで作られているものはそれほど多くありません。

ここで紹介したグループホームは建物自体のデザインが優れているのはもちろん、地域社会、地域コミュニティとの交流まで意識されたものとなっています。

これからこうしたデザインの施設が増えていくと考えられています。