生活保護の方への一般的な就業支援の流れとは
生活保護を受けている人はまったく働く必要がないというわけではなく、自立して勤労していくということが求められます。
その中で中心となっているのは「就業支援」です。
そこでここでは生活保護を受けている人に対して行われる就業支援について紹介していきたいと思います。
1.生活保護受給者等就労支援事業による就労支援
こちらは「生活保護受給者で就労能力、就労意欲があり、就労を妨げるものがない方で、適切な就労支援を行えば、自立の可用性が目込める方」を対象として行われている支援となります。
生活保護を受けている人に対して、福祉事務所の就労支援員とハローワークの相談員が連携して就労支援プランを作成し、面接の練習などを行うことで就労を支援するというものです。
ただ、この支援を行う就労支援員は警察官や役所で働いていた公務員が定年後に行うことが多く、就労支援の専門家ではないという弱点があります。
ハローワークの相談員は仕事を紹介する専門ではありますが、就労支援をするプロではないということもあり、高い効果が出ているとは言えません。
2.就労意欲喚起等自立支援法による就労支援
こちらは「就労意欲や生活能力・就労能力が低いなどの就労に向けた課題をより多く抱える生活保護受給者」に対して、
・就労意欲を喚起させる
・就労を支援する
といった取り組みを行うものです。
実際には、民間職業紹介事業者、NPO法人などに委託されて実施されることが多く、専門家が行う支援となるため、生活保護受給者等就労支援事業による就労支援プログラムよりも効果が高いといったメリットがあります。
しかし、このプログラムを実施していない福祉事務所も生活保護受給者でなければ、支援を受けることができないといったデメリットもあります。
3.生活困窮者自立支援法による就労支援
こちらは平成27年4月1日に施行されたばかりの新しい法律となっています。
「現在生活保護を受給していないが、生活保護の条件を満たす可能性のある者で、自立が見込まれる者」を対象としたプログラムですので、生活保護を受給していない人でも受けることができる就労支援となっています。
この法律によって就労意欲喚起等自立支援法による就労支援プログラムを生活保護受給中でなくても受けられるようになったというメリットがあります。
これは、将来的に生活保護を受けるようになる人を未然に防止し、就労するということを目的としたもので、高い効果が見込まれるものなのですが、このプログラムはすべての福祉事務所で行われているわけではなく、「任意」となっているため、こういった取り組みに前向きな福祉事務所でなければ利用することができない就労支援となっています。
これからの発展に期待というプログラムだと言えるでしょう。
4.さまざまな金銭的な就労支援
生活保護を受けている人はさまざまな金銭的な就労支援を受けることもできます。
ここではそれらについて順に紹介していきます。
4-1.就労自立給付金
こちらは生活保護の受給を廃止する際に、廃止した後の自立を支えるということを目的に支給されるものです。
支給される条件としては、
・世帯員の新規就労、開業または増収により、6ヶ月以上最低生活費以上の収入を得ることができると認められること。
・原則、生活保護廃止直前に受給者からの申請があること。
・生活保護を廃止すること。
というものがあります。
生活保護が廃止になる前の直近6ヶ月間で働いて得た収入が多いほど支給される給付金が大きくなるという特徴があり、支給の上限金額は、単身世帯10万円、多人数世帯15万円となっています。
4-2.就労活動促進費
就職活動をする際には、応募先の会社への通信費や訪問する際の交通費などの費用がかかることとなります。
こうした就職活動を支援するための費用がこれに当たります。
受給できる条件としては、
・早期に就労による生活保護からの脱却が可能と福祉事務所が判断した人であること。
・自立活動確認書に基づき決められた求職活動要件を満たしていること。
というものがあります。
支給金額は月額で5000円となっています。
4-3.就労支度費
就職活動がうまくいって就職することが決まった際には、そこで必要となるスーツ、靴、カバンなどの購入費用が支援されます。
受給できる条件は、
・社会保険に入っていること
というもので、上限が29000円まで支給されます。
また、初任給が支給されるまでの通勤費も実費で支給されます。
4-4.資格取得費
こちらは就職するのに必要となる資格や技能取得にかかる費用を支援するものです。
支給される条件としては、
・就職をするのに必要となる資格取得であること
というもので、直接就職に関係する専門的な資格が該当します。
支給金額は1年に76000円となっていますが、自立支援プログラムの場合は最大で201000円、自立助長に資することが見込まれる場合は最大380000円となります。
ただ、この支援の最大の特徴は資格取得ができなかった場合は支給した全額を返還しなくてはいけないということです。
まとめ
生活保護を受けている人にはさまざまな就労支援が行われています。
それらを効果的に使うことで、自立した生活を送ることができるようになります。
ぜひ、効果的に利用していきましょう。